世界一押しつけがましいタンゴアーティスト列伝vol.7[小松亮太]

前回のアニバル・トロイロ、映像多いし良かったでしょ?

じゃあ今回はビッグアーティストの中でもピアソラファンには一番関係なさそうなピアニスト、カルロス・ディサルリ行ってみますか。映像なくても最後まで読むように。
前々回のファン・ダリエンソはピアソラの対角線、真反対みたいなアーティストだったわけだけど、ディサルリは敵とか味方とかいうより無関係って感じ。でもピアソラはプライベートな場面ではディサルリには尊敬心を抱いている様子だったらしい。

もう今では70歳以下の世代でディサルリの素晴らしさがわかる人は一般的にはもうほとんどいないだろうね。
前回紹介したアニバル・トロイロは映像が少しはあるし、ご紹介したDVDの「Sur」なんかを見てもらえれば「偉大なる『わが街のカリスマ』」っていう部分は感じてもらえるだろうし。

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ダリエンソやプグリエーセ系の人たちの、あの濃ゆいパフォーマンスは好き嫌いは別にしても、「こういうものか!」って思わせてくれるある種のわかり易さがあると思う。

ところがディサルリは超絶テクニックを見せてくれるわけじゃないし、ものすごい情念をたぎらせてるわけでもないし…煽らないし叫ばないし、同じような曲を同じようにやってるだけだし…でも、問題は弾き方だよ!
いったいどうやったらあの鋭くも柔らかいスタッカートが弾ける?あんなに簡単な音符ばかりでどうやってあの浮遊感や奥行きを実現できる?

もし今ディサルリが生きていて、ディサルリ楽団の単独リサイタルをやったら、残念だけどいい演奏だったとしても退屈してしまう可能性は高い。
つまりこの人の音楽はインストゥルメンタルとして座ったまま10曲つづけて聴くような性格のものじゃなくて、ダンススポットでお客さんを踊らせてその真価を発揮する。ダンスと言っても、他のラテンアメリカの(サルサとかサンバみたいな)ダンスとは全然違う、もっと落ち着いたストイックで教養的な世界。たとえば70歳過ぎたシニア世代の男女が普段着のまま静かに手をとりあい身を寄せあって、必要最低限のステップだけでふたりだけの世界に浸りながら踊る時間を演出する、究極のワビサビ系タンゴ。
どの曲の演奏も最初から最後までシンプル・イズ・ザ・ベストで貫かれている。スタンダードナンバーはあまりやってない。たまーにバイオリンが短いソロを弾いたりする以外は「誰かのソロ」というものが全然出てこない。バンドネオンは超簡単そうな音ばかり弾いてるし、主役のはずのディサルリさんはオルケスタを支えるリズムばかり刻んでいて、メロディーなんかほとんど弾いてくれやしない。
コード進行はごく当たり前な感じだしアレンジは誰でも書けそうなベーシックなものでしかない。

じゃあカルロス・ディサルリがいかにグレイトなのか…それは脂たっぷりの外食や、ギラギラした音楽やゴテゴテしたバラエティー番組にすっかり飽きてしまった日の深夜、たったひとりで彼のCDに耳を傾けたときに突然わかっちゃったりする。
僕がディサルリの魔力に気づいたのも、まだ二十歳になりたてでヒマこいてたある夜のことでした。
あの頃は食い物にも音楽にも刺激ばっかり求めてましたね。そのくせ時間はあるのに大した勉強もしない。11時過ぎに仕事が終わって夜中2時くらいから韓国ラーメン屋で激辛食って昼間に起きてきて大音量でCD聞いて、夕方から街をぶらついて…
気ままで楽しい日々だったけど、たまに東京芸大の友達から学園祭に誘われて行ったりすると、同じ歳の上手い人がたくさんいて(バイオリンのNAOTO君とか今年のイマージュのコンサートマスターだった相川さんとか、あの辺の人たち)、「今のうちにちゃんと勉強して食えるようになっておかなきゃ…」という、尻に火が付いたような気持ちになり始めたのが21歳くらいのときかな?
放蕩生活しまくってたある日の夜、あんまりちゃんと聴いてなかったディサルリのレコードにふと針を落としたんですよ。ヒマだったから。曲はフランシスコ・カナロという人が作曲した「ヌエベ・プントス」っていう曲だった。

たった2分半の古くて単純な音づかいの中にある最高級の気品。
暴飲暴食していきがって生意気なことばかり言ってた僕にはショッキングな清涼剤でした。

ピアソラやプグリエーセみたいな熱さじゃない、トロイロのセンチメンタリズムとも違う。音楽の中に物語性が少ないのはダリエンソと同じ。でも彼みたいな殺気とかエンターテイメント性とは絶対違う。物語も恨み節もユーモアも、技巧の見せ場もないまんま、何のサイドストーリーもないまんま、「気品」だけを武器にいきなり芸術狙ってる。

基本的なものしかないはずなのに、当たり前のことしかやってないはずなのに宇宙みたいな深遠さがある。ディサルリ楽団が刻むタンゴビートを聴いてると、なぜ人間が時計の針の1秒を「この速さ」に定めたのかがわかる気がしてくる。チクタク…チクタク…音楽の時を噛みしめるリズムなんだよ。

僕に言わせてもらえばディサルリが作ったのは「街の」音楽でもないし「未来の」音楽でもない。人間の生理と真理だけをただただ信じた「なにも無く、すべてがある」音楽。そのジャンルのプリミティブな長所を徹底的に磨いた商業性ゼロの芸術。

この体験をしてから、あまり刺激的じゃないタンゴの価値がわかるようになった気がする。ぱっと聴いただけじゃわからない、たとえばアニバル・トロイロとかアルフレッド・ゴビとか「いっけん普通っぽい」タンゴの価値が…。

ディサルリに関しては特定のCDを紹介しなくていいと思います。今までにオールドファンのための再発売、再編集ものがたくさん出たり消えたりしたけど、ディサルリさんに限っては演奏が悪いものは全然ないから。
彼が演奏した中で一番好きなものを3曲挙げろ、と言われたらこれかな。

1、ヌエベ・プントス(NuevePuntos)
2、エル・インヒニェロ(ElIngeniero)
3、ベルデマール(Verdemar、ヴォーカルはロベルト・ルフィーノ)

もちろん他にも名演はたくさんあるけどね。「エル・オンセ」とか「大きな人形」とか「たそがれのオルガニート」とか。ディサルリのオリジナル曲も素晴らしい。「ミロンゲーロ・ビエホ」とか「バイアブランカ」とか…。
とにかくこの辺のCDはどれ買っても変な演奏はないから、まずは買っちゃって、退屈した夜中にひとりで聴いてください。夜中の茶漬け(インスタントじゃなくて、ほんとにご飯に日本茶かけたやつ)のような密やかな贅沢を楽しめること請け合い。
ちなみにこの人の映像は多分ありません。

CD買いなさい。 こちらです。
http://www.latina.co.jp/



2007-11-05 11:50 この記事だけ表示 |コメント 5 |トラックバック 1

ミシェル・ルグランさんと共演![小松亮太]

映画音楽の超巨匠、ミシェル・ルグランさんと共演さしていただいちゃいました。本当に光栄です(東京国際フォーラム)。
ほとんど軽い打ち合わせのみの一発セッションでしたけど、楽しく幸せな時間でした。
画像はコンサートが終わってお腹ペコペコでサンドイッチを放さないミシェルさん。
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そしてもうひとつの画像は、共演は10年ぶり(前回はイタリアの名歌手ミルバさんのサポートでご一緒した)となる超絶ドラマー村上ポンタさんと、初共演の名ベーシスト、坂井紅介さんとの3ショット。
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僕は12、3年前に足立区西新井の「カフェ・クレール」というジャズスポットに生ジャズをよく聴きに行ってたんですけど、その頃しょっ中坂井紅介さんの演奏を聴いていたわけで、今回の共演は勝手に懐かしくうれしい気持ちになりました。

ピアノはもちろん素晴らしいし、オーケストラアレンジ書いて、指揮して歌ってMCして…75歳の巨匠にはいつまでもお元気でご活躍いただきたいと思います。
ご来場下さったお客さまに深く感謝申しあげます!!

2007-11-03 13:25 この記事だけ表示 |コメント 2 |トラックバック 0

忘れてました・・・[小松亮太]

忘れてました…
今日僕めの34歳の誕生日でした。
事務所にもお祝いメッセージをいろいろ頂いてるみたいで本当にありがとうございます!これからもよろしくお願い致します。

うちの一番上の子が学校で見つけた大きい葉っぱで誕生日プレゼントに「うさぎ型の船」を折って持って来てくれました。ご笑覧頂ければ幸いでございます。

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真ん中の女の子はこんな絵をプレゼントしてくれました。
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2007-10-30 15:45 この記事だけ表示 |コメント 9 |トラックバック 0

世界一押しつけがましいタンゴアーティスト列伝vol.6[小松亮太]

ビクトル・ラバジェン、フリアン・プラサ、エミリオ・バルカルセ、オスバルド・プグリエーセ、ファン・ダリエンソ…という感じで好きなように紹介してきたけど…正直ちょっと不毛な気もしてきた(笑)。だってせっかく紹介してもタンゴに詳しくない人はCD買いづらいでしょう。ネットで買えるものは限られてるし、最近タンゴをたくさん扱ってたはずのレコード店でも、タンゴに詳しい世代のベテランの店員さんがどんどん引退してるしね。詳しい店員さんがいないということは店に仕入れなくなるっていうことだから…。
いま60歳の人がビートルズ世代なんだからね。タンゴのレコードやCDに詳しい人って70は軽く越えてるわけですよ。ピアソラだって生きてたら86くらいなんだから…

とにかく皆さんがCD買えないなら、むしろ映像をご覧いただいて盛り上がってみたいと思い携帯から更新しております。

6回目の今回は、ピアソラにすごい影響を与えたことで名高い…と言いたいところだけどピアソラファンにはほとんど知られてないアニバル・トロイロに行ってみたいと思います。
まずは晩年のトロイロさん。Mananitas de Montmartreという曲やってます。指揮してる太いおじさんがトロイロさんです。http://www.youtube.com/watch?v=K58caMa8tKg
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次は超オススメ。vol.2で紹介したフリアン・プラサが作曲した超有名曲のDanzarin。ピアノは僕も何度となく共演させてもらったホセ・コランジェロ、あとバイオリンの中にピアソラファンには有名なフェルナンド・スアレス・パスの若かりし頃の姿。しかしこの雰囲気は確かに南米のパリって感じがする。荒くれたヨーロピアンていう感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=PwtT1t0aPU4
これはカラーのトロイロさん。この体型がカリスマ臭をムンムンに発散してるんだよ。
バックの人たちはほんとに上手くて感動。まあここまでくるとトロイロさんが焦点合わない目でドッカと座ってるだけでタンゴ臭ムンムン。Quejas de bandoneon(バンドネオンの嘆き)。
http://www.youtube.com/watch?v=yXVLktRRkwY
むしろ映像で紹介できて良かったかも。というのはアニバル・トロイロのオルケスタって、プグリエーセやダリエンソみたいな極端なパフォーマンスじゃないから「普通」な感じに聞こえちゃうんですよ。映像の中のトロイロさんは全盛期はとっくに過ぎてるんだろうけど、僕は彼の全盛期のスタジオレコーディングを聴くよりライブ映像が個人的にはオススメします。
彼はバンドネオンもすごいけど、この時代のビッグアーティストの常で作曲がすごい。
これはトロイロが作曲した歌の曲にたくさん作詞したオメロ・マンシという人トリビュート番組で、彼らの作ったSur(南)という曲。
http://www.youtube.com/watch?v=8jb8rVQx_4Y

これはほんとは弾いてない、レコードに合わせて弾きぶりしてるんだけど、僕も一時期よくやってたラ・トランペーラもちろん彼の作曲。トロイロのプレイはシャープっていう感じじゃないし、もっさりしてるわけでもないし…独特なんだよね…タンゴ創世記を描いたミュージカルらしいです。
http://www.youtube.com/watch?v=YLPrKYrcbsM

Edmundo Rivero というトロイロの片腕だった歌手でもう一度「南」聴いてください。バックのリーダーのバンドネオンは超巨匠レオポルド・フェデリコさん。70年代前後かな?
http://www.youtube.com/watch?v=w0pt3h9LshU

すげえ!!トロイロさんが痩せてる!歌手はAlberto Castillo 。これはトロイロの曲じゃないけどニングーナっていう曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=9VxfFmS5h7Q

彼は当時のブエノスアイレス市民の心をシンボライズするカリスマだったと言われてるけど、僕は正直いうとその凄さがどんなものだったのか具体的にはわからない。でも、1950年代に南米ツアーをしたときに彼と食事したという阿保郁夫さん(歌手)から聞いた話なんだけど…
南米や中米では今もよく見掛ける風景だけど、レストランで食事してるとスラムから来たような小さな子が花を売りにくるんですよ。でももちろん買う人は少ないし、下手に買っちゃうと後でしつこくもっと買わされるんじゃないかという危惧もあり…
で、阿保さんがトロイロさんやその仲間たちとみんなで食事してたら、やっぱり小さな子が花を売りに来た。そしたら彼はマネージャーさんに、あのしわがれ声で、「ぜんぶ買ってやれ!」と迷わず命じたらしい。そういう人だったみたい。

実はピアソラは20歳代で彼の楽団をクビになっちゃってるんだけど、これはつまり「タンゴミュージックは飽くまでもブエノスアイレスの街の音楽」という考えを貫いたトロイロと、「ブエノスアイレスという地域性や、限られた時代性を超越する可能性のあるタンゴ」を模索してたピアソラがぶつかってしまったみたいですね。
トロイロさんにしてみれば、ピアソラが持ち込んだ新曲をやってブーイングが来たり(理由はダンスしづらいから)するのは仕事の上では許容出来なかっただろうし、ピアソラさんにしてみれば一生懸命書いたアレンジを何度も書き直しさせられたりするのは堪らなかっただろうし。

でも袂を分けたあと、ふたりは前よりお互いを理解して、バンドネオンふたりだけでコラボしたりしてる。この辺の曲のサイドストーリーは日本が世界に誇るタンゴライター斉藤充正さんの「アストル・ピアソラ、闘うタンゴ」(青土社)とか 斉藤充正さんのホームページtangodelic などご覧下さい。こちらです。
http://homepage2.nifty.com/mitsu-sa/

あ、あとナタリオ・ゴリン著、斉藤充正訳の「ピアソラ自身を語る」(河出書房新社)にもトロイロのエピソード満載。

彼の作った歌の曲は、どれもメロディーが不思議なんですよ。明るいのか暗いのかわからないメロディー。でもコード進行なんかは結構オーソドックスで、そこがまた不思議。

トロイロを感じるのに多分一番手に入りやすくて素晴らしいのはDVDボックスの 「タンゴ ピアソラ×ソラナス」(発売元はimaGica、販売元は紀伊国屋書店、KKDS-295)でしょう。この中の「Sur」という映画はトロイロワールド満載。
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多分こういう映画が服を着て歩いてる感じだったんだろうね、トロイロという人は。

意味わからなくてもいいと思いますよ。とにかく絵と同じで「ただ」見て「いいなあ」と思えば…。
買いなさい!

2007-10-29 20:35 この記事だけ表示 |コメント 5 |トラックバック 0

モノノ怪、DVDがでます![小松亮太]

今日はスカパーのタンゴ・イン・コンサートの収録をしました。
http://www.musicair.co.jp/artist/?rm=detail&a=512

フランスのミュゼットアコーディオンの巨匠のダニエル・コランさんのインタビューもしました。去年もコランさんのコンサートに行きましたが、もちろんすごいテクニックなんだけど、ハートに直結したテクニックなんですよ。見せるためのテクニックっていう感じがしない。12月24日に渋谷、25日に那覇でコンサートあります。こちら見て下さい。
http://www.respect-record.co.jp/topics/20071224live.html

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ところでモノノ怪は昨夜北海道で最終回が放送されました。これですべての地域の放送が終わっちゃった。残念…。
でも大丈夫ですよ奥さん!

なんと「モノノ怪」DVD発売です。もちろん小松亮太作曲のオープニングテーマ「下弦の月」のオンエアバージョン(『かいっ』で終わるバージョン)も入ってます。こちら見て下さい。
http://member.toei-anim.co.jp/esp/cgi-bin/list.cgi?ctg_id=dmononoke

そして僕が、アルゼンチン音響派(と呼ばれてるジャンル)の雄であるバホフォンドとまさかの共演を果たしている「マール・ドゥルセ」の日本盤が発売です。レコーディングから実に二年が経過しましたが、突然の国内リリースにびっくり。僕は「Pa'Bailar」という曲に参加してます。こちらご覧下さい。
http://www.towerrecords.co.jp/sitemap/CSfCardMain.jsp?GOODS_NO=1657376&GOODS_SORT_CD=101

なんか今年は映画のアルゼンチンババアに始まり、いろんな小松関連のディスクがリリースされますね…。懲りずに応援してやって頂ければ幸いに存じます。m(_ _)m
2007-10-24 20:37 この記事だけ表示 |コメント 2 |トラックバック 0

水族館[小松亮太]

いま新たな作曲で苦しんでおります。この更新は気分転換以外の何でもないことを了解頂ければ幸いです。

おとといはつかの間の休日、下のふたりを連れて水族館に行きました。彼らはまだ幼稚園児だから、あまり場所の指定はしてこないので、もっぱら僕が行ってみたいところに行くだけです。
僕は動物園は得意じゃないです。本来はうんと広いところで活発に生きてるはずの彼らの、あの死んだような目を見るのは辛い。
そこへいくと水族館は彼らの感情を慮ることなく無責任に楽しめます。これはひとつの差別でしょうか? 「いいや別に。魚だから」みたいな、実に思いやりのない考え方。

子供たちはクラゲで喜んでたけど、僕は今回は特にマンボウに釘付け。
このデカさと存在感。またその存在感に相反する、生まれてから死ぬまで無我の境地を持続させてそうな顔。
絶対に何にも考えてない。何が仕事なんだろ? 何のためにゆっくり泳いでんだろ?
イヤな奴に会って、失礼なことを言われてイヤな気持ちになったときは、マンボウの顔を思い出してみようと思います。
「ああーそうですかー」「そうかも知れませんねー」っていう感じで、争いごとを回避できそうです。
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で、今日は一番上の子が学校の遠足で芋掘りでした。こんなに掘ってきた!!今夜は天ぷらでしょう。
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あと10月27日に、かみさんがピアノの熊田さんとクラシックや現代音楽のコンサートを小平でやります。
http://farmei.fc2web.com//
それに翌28日にはショーロアンサンブルの「トリンダージ」で昼のライブだそうです。新宿3丁目の画廊でやるみたい。こちらです。http://www.trindade.jp/
作曲頑張ります。
2007-10-23 20:35 この記事だけ表示 |コメント 4 |トラックバック 0

東京バンドネオンクラブ[小松亮太]

東京バンドネオンクラブの10回目のコンサートを来月に控え、僕も頻繁にリハーサルに参加してます。
東京バンドネオンクラブのホームページに、このクラブとの想い出をいろいろ書きましたんで、読んでおくんなまし。こちらです。
http://www.tokyobandoneonclub.jp/

音楽っていうのは不思議な世界で、もちろん演奏はうまい方がいいに決まってるんだけど、どう考えても決してうまいはずがない人たちが感動的な演奏をしてしまうことって実際あるんですよ。
もちろんそんな魔法がかかったような雰囲気を作れるのは、辛く苦しい練習を乗り越えたあとの話ですけどね。
アマチュアと言ってもいろんなタイプがあって、「厳しくて大変な思いをするより先に、まずは楽しもう」という路線の人と、「たとえ辛くても、やるならちゃんと練習しないと…」という路線の人に分かれるんですけど、この東京バンドネオンクラブは紛れもなく後者ですね。音楽に向かうときの自分たち自身への厳しさ、綿密な計画性や運営力にはちょっとびっくりさせられますよ。
コンサートに向けての揺るぎない行動力を見ていると、最近見かけなくなった「勤勉な日本人」という言葉が思い出されるんだよ。

ただ一生懸命練習してるだけじゃなく、会場との交渉や打ち合わせ、チラシやポスターの作成に公演のPR。
チケットの販売や管理、練習場所の予約に部員のスケジュール調整etc…。コンサートっていうのものは、言ってしまえばイベントであり興業。こんな大変なことを、普段は本業で忙殺されてるはずの人たちが、しかも楽器の練習しながら実現してるわけだからスゴ過ぎる。どうやって時間作ってるんだろ?

僕はこのクラブとの付き合いには大袈裟じゃなくロマンを感じてるんで、来月の10回目のコンサートでも、一生懸命やらせていただきます。賛助出演のプロミュージシャンも16人も出ます。

毎年のことなんですけど、全公演で700〜800枚くらいあるチケットがキャンセル待ちになったりしますんで、なるべく早いチケット確保をお勧めします。
2500円のうちの200円がムコ多糖症支援ネットワークに寄付されるので、その意味でも是非のご来場よろしくお願いします。

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2007-10-21 01:49 この記事だけ表示 |コメント 6 |トラックバック 0

テレビの御知らせです[小松亮太]

連続更新失礼します。

あす18日から毎週木曜20時放送のNHK連続ドラマ 「風の果て」の岩代太郎さん作曲のエンディングテーマを小松が演奏してます。
劇中のバンドネオンも私めでございます。

東海テレビ系列の昼ドラマ「愛の迷宮」テーマ
「月ノ涙」(織田哲郎さん作曲)もよろしくです。

http://www.ryotakomatsu.com/html/news/index.html

2007-10-17 12:57 この記事だけ表示 |コメント 3 |トラックバック 0

世界一押しつけがましいタンゴアーティスト列伝vol.5[小松亮太]

なんか意外にこのコーナー人気あるみたい。ありがとうございます。こうなったらおじさん頑張るから。

今回は「電撃のリズム」の帝王、ファン・ダリエンソ(タンゴの指揮者)を紹介したいと思います。が、その前に言いたいことがひとつ。

もう10年くらい前からの現象ですけど、アストル・ピアソラの音楽が紹介されるとき「ダンスミュージックに過ぎなかったタンゴを、ピアソラが聴くための音楽に変革した。」みたいに書かれたりしてるけど、正直あんまりいい紹介のしかたとは思えないよね。確かにピアソラは超人だけど、他の人もかなりスゴいことやってたわけだから。
大体ピアソラと古いタンゴ、踊りのタンゴっていう単純過ぎる分け方もかなりおかしい。それはそれはいろんな曲やアーティストやアレンジが千差万別にあるんだし。
たとえば、ジャズと言ってもデキシーランドジャズを1曲聴いただけではジャズを聴いたことにはならない。ビル・エバンスだってサッチモだってシュテファン・グラッペリだっている。ひとつのジャンルを、まあまあトータルに知ろうとするだけでも結構な時間も手間もかかるはずでしょう。
クラシックと言ったって、バッハやベートーベンはもちろんクラシック。でもサティもガーシュインも武満徹も一応クラシック系と言われてんだから。ひとつのカテゴリーの中に更にいろいろなカテゴリーがあるんですよ。

残念だけど、タンゴは短絡的に捉えられることが確かに多い。
「ピアソラの先輩?じゃあすごい人なんだろうね?CD買ってみるか」みたいな人に、ほとんど会ったことがない。
リベルタンゴのピアソラさんはスゴいんだろうけど、あとは古臭いタンゴなんじゃないの?…みたいな先入観だが強く浸透してるようなな感じ。

まあこれには根深い歴史があって、あるヨーロッパのイージーリスニング系アーティスト(名前は伏せておく)が、本来は特殊な演奏法や、捻ったメロディーだらけのタンゴを「いかにも簡単な大衆音楽」っぽく改竄して売り出して成功したんだよ。南米以外の世界中の人々が、「これがタンゴなんだ」と一度は思いこまされちゃった時代が確かにあったんだよね。それが未だに尾を引いている。
まあ誰がどんな音楽を売ろうと、それはもちろん自由なんだけど、あれはタンゴというジャンルにとって、ちょっと痛かった。

「単純なようで実は奥深い」はずのジャンルが、「いかにも単純な音楽」としてアピールされて、それが売れてしまった。

その影響が今でも世界中にうっすら残ってる。そこに90年代半ばのピアソラブームがきたもんだから、「ピアソラや、彼以降のタンゴは立派で難しいんだろう、ピアソラより昔のタンゴは古臭いし簡単なんだろう」なんていう話になっちゃってるわけ。でもそろそろそんなレベルの誤解は払拭しなきゃね。

で、なぜ今ファン・ダリエンソを紹介するのか?
つまり先ほど書いたヨーロッパの誰かさんと、ファン・ダリエンソみたいな巨匠を一緒にしちゃいけませんよ、と言いてえんですよ!正味な話!!

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「ピアソラは素晴らしいと思うけど、ダリエンソの何が素晴らしいのかわからない」っていう人は、残念ながらまだ耳が肥えてないと言える。
ダリエンソの悪口言うのは簡単ですよ。なんの曲をやっても同じようなアレンジじゃないか、ワンパターン過ぎるじゃないか、etc…。
ダリエンソの芸風は確かに聴いてる分には単純明快。でもさっき紹介したヨーロッパの誰かさんとは絶対に違う。そんな生易しい音楽じゃないんです。

ダリエンソのファン(主にオールドタイマーのファン)とピアソラのファン(主に最近タンゴファンになった人たち)は源氏と平家みたいにはっきり分かれてるみたいだけど、僕は両方とも好きですけどね。もちろんパフォーマンスは全然違うけど、興奮剤打たれた馬が暴れてるような勢いというか、過剰なまでの殺気というか…何だかんだ言ったって同じジャンルなんだなぁっていう気がしますけど。

僕はダリエンソ・スタイルのタンゴはやらないですよ。本当はやってみたいけど、出来ないんだよ。弾けないんだよ!あんな難しいの出来ないよ!
ファン・ダリエンソさんがやってた演奏っていうのは、まずはとにかく、「うまい」こと、それが命なんですよ!
「ちょっと間違いもあったけど素晴らしかった」とか「誠実な感じだったから」「一生懸命だったから」なんていうサイド・ストーリーは認められない。ちょっとでも間違いがあったら「ダメ!」。アンサンブルが乱れたら、音程が外れたら、
「とにかくダメなもんはダメ!」。

なぜならファン・ダリエンソ楽団の音楽性には、「物語性」が全然ない。極めてシンプルに、音そのものの面白さ、迫力、うまさだけををひたすら追及する世界。完全な贅沢品であり嗜好品なんですよ。

いくら一生懸命やったところで、ちょっとでもミスをすれば減点されてしまう体操競技と同じ。技術即ち芸術だと思ってる世界。

逆に、「物語性」が強い楽曲は、時として演奏技術の不足を補ってくれる。それこそピアソラの曲は、まあまあ普通にやれば作品が雰囲気を作ってくれる。一生懸命やれば多少の間違いや未熟さにも情状酌量の余地が生まれる。ところがダリエンソ・スタイルの音楽はそうはいかない。

アルゼンチンでも日本でも年輩のタンゴファンの間では、「ダリエンソこそがタンゴの代名詞的なアーティスト」みたいな言われ方をすることがあるけど、僕はそんな風には思わない。なぜなら他のタンゴアーティストが持っているタンゴ的要素…簡単に言えば、悲しみや懐かしみや苦悩といった情緒的な要素を確信犯的にバッサリ切り捨ててるところがあるから。
あくまでダリエンソさん個人が編み出してタンゴファン(特にダンスファン)にアピールしたものだと思うんですよ。
やっぱり彼はタンゴミュージックの中の「ある部分」を抽出して濃縮してデフォルメして売り出したタイプの「極端型アーティスト」だと思いますよ。だからダリエンソがタンゴの代表っていうのもちょっとね…。まあ最近ピアソラがタンゴの代表みたいに言われてるのもほんとは相当ヘンな話なんだけどね。

今まで書いてきた話は1940年代から60年代のダリエンソです。初めてダリエンソを聴く人には、Youtubeでもなんでもいいから「映像のダリエンソ楽団」を見て欲しい。CDで聴くだけだと演奏が完璧すぎてすぐには感動出来ないかもしれないから。
つまり難しそうに弾いてる感じが全然ないから、簡単なことをやってるかのように誤解される危険があるんですよ。逆に言えばそれぐらい技術に余裕がある人たちが弾いてるわけ。


異常なほど歯切れのいい5台のバンドネオンが超絶技巧で暴れたかと思うと、つんのめったピアノがカミソリみたいに切り込んで来る。バイオリンが過剰なビブラートで悲しくもないのにすすり泣く。絶対にごまかしが利かないシンプル過ぎるリズムを10数人でピッタリ合わせてる様子はさながら北朝鮮の軍事パレードを見てるような感じ。冗談じゃなくて本当にそれぐらい息が合ってる。ものすごくスポーツライクな音楽だよね。

この社会主義国的なアンサンブルを司っているのは紛れもなくダリエンソ御大。彼は楽器を弾いてるわけじゃないし、アレンジを提供してるわけでもない。でも彼が腰を屈めてメンバーを睨み付けながら手を振り回すだけで、何かがクリエイトされてるんだよ。とにかくダリエンソは映像で知るべし。
彼自身は夜のミロンガ(ダンススポット)の王者だったわけだから、太陽を10年以上見たことない時期もあったらしい。でも僕は個人的には昼間にダリエンソを聴くのが好きだな。徹底的にリズムの気持ちよさと肉体的技術を突き詰めた音楽だから、理屈抜きに明るく聴けるんですよ。
オスバルド・プグリエーセはダリエンソを尊敬していたし、アニバル・トロイロは少し嫉妬してたらしい。ピアソラは「暴力的で何の風情もない」って悪口言ってたらしいけど、晩年には認めていた。エドアルド・ロビーラはダリエンソが亡くなったときの追悼番組で「ダリエンソが死んだ?生き返らないように気をつけよう」とか言ってファンから猛攻撃を食らったらしい。

まあそれだけビッグなカリスマだったってことです。

個人的なおすすめトラックっていうか僕が好きな曲は 、「フェリシア」(Felicia) 「ラ・ビコーカ」(LaBicoca)「コントラ・ルス」(ContraLuz)あたりだけど…CD買うのもいいけど、とにかく映像を先に探してくれ!
60年代のウルグアイでのスタジオライブのビデオはもう廃盤だろうな…。

Youtube行ってみよ!いい映像見つけたらコメント欄に情報頼んます。
http://www.youtube.com/


2007-10-17 11:48 この記事だけ表示 |コメント 5 |トラックバック 0

大阪にて[小松亮太]

昨日から大阪入りして夜は懲りずに韓国料理に行きました。

大阪ザ・シンフォニーホールは2回目だけど、オーケストラはお初の共演となる大阪センチュリー交響楽団。指揮者は今年2月以来となる金 聖響さん。他のゲストもすごくてピアノのスタニスラフ・ブーニンさんはいらっしゃるし超豪華コンサートでした。

僕は自作の夢幻鉄道と僕のアレンジのリベルタンゴ、それにオブリビオンをやりました。とにかく2月に初めて会って以来、金さんにはすごいお世話になっちゃってます。本当に親切にいろんなこと教えてもらって…来年も共演が決まってるし、激ウマの韓国料理に連れてってくれるらしいし! ありがとうございます!
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ムコ多糖症支援ネットワークの中井さんが聴きにきてくれてたんだけど、突然うれしいお知らせが…。
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なんと舛添厚労大臣が「ドラッグラグをなくしていく」って記者会見したと…。
つまりムコ多糖症のための薬だけじゃなく、外国では認可されてるけど日本では認可されてない薬を全般的に見直して認可するなら素早く対応する、と公約したらしいんですよ!!
中井さんは突然のことでびっくりしてて、舛添さんの会見を受けてのコメントを求められてシンフォニーホールを途中で出たり入ったり大変だったみたいです。
いやしかしすごい話だよ。
何しろガンの薬なんかでも、世界中で認可されてないのは日本と北朝鮮だけ、なんていう薬もあるらしい。こういう日本のダメダメなところがこれから急激に変わるのか…いやいや変わってくれないと!頼んますよ舛添さん!
詳しくは情報アップされると思いますんで、こちら見て下さい。
http://www.muconet.jp/

改めて中井さん一家、患者支援に奔走した日本テレビの湯浅さん、湘南乃風の皆さん、まずはおめでとうございます!
ちなみに11月にムコ多糖症支援ネットワークに入場料金の一部を寄付する「東京バンドネオンクラブ」のコンサートもよろしくです。こちら見て頂ければ幸いです。
http://www.tokyobandoneonclub.jp


2007-10-14 01:51 この記事だけ表示 |コメント 3 |トラックバック 0